鹿島神宮宝物殿
Kashima Jingū Treasure House
概要
神社の概要
常陸国一宮にして、日本建国神話に深く関わる武神・武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)を祀る古社・鹿島神宮の宝物殿である。武甕槌大神は『古事記』『日本書紀』において、天照大神の命を受けて出雲の国譲りを成し遂げた武の神であり、古来より武道・武術の守護神として武人の崇敬を一身に集めてきた。鹿島神宮は紀元前660年の創建と伝えられ、その歴史は日本の歴史そのものに重なる。
刀剣と武神
宝物殿最大の至宝にして日本刀史上の金字塔が、国宝「直刀 黒漆平文大刀拵」(ちょくとう くろうるしひょうもんたちこしらえ)である。奈良時代に制作されたこの直刀は、全長約2.71メートル(刃長約2.24メートル)という破格のスケールを誇り、現存する日本最古級の刀剣のひとつとして知られる。「反り」を持たない直刀であることは、日本刀が湾刀へと進化する以前の古代刀剣の姿を今に伝えるものとして、刀剣史研究上きわめて重要である。黒漆に平文(金属の薄板を漆に埋め込む技法)を施した大刀拵も同時に国宝に指定されており、奈良時代の工芸技術の水準の高さを示している。
剣道信仰
この巨大な直刀の前に立つと、その圧倒的な存在感に言葉を失う。現代の日本刀の刃長が概ね60〜80cm程度であることを考えれば、224cmという刃長がいかに異例であるかが理解できよう。古代の祭祀において、神に奉納する刀剣が大きいほど霊力が強いと信じられていたことを物語る一振りでもある。
国防伝統
宝物殿にはこのほかにも、古代から中世にかけて武将や大名が奉納した刀剣・太刀が収蔵されている。武神に捧げられた刀剣群は、日本における「刀と祈り」の原初的な関係を知る上で、他に代えがたい資料である。鹿島神宮は「鹿島立ち」(旅立ち・門出)の語源ともなった聖地であり、防人(さきもり)たちが東国から九州へ赴く際にここで武運を祈ったとの伝承も残る。
現代への影響
境内は約70ヘクタールの広大な鎮守の森に包まれ、奥参道の杉の巨木、要石(地震を鎮めるとされる霊石)、御手洗池(透明度の高い湧水の池)など、見どころが多い。鹿園もあり、春日大社の鹿の祖先がここから送られたとも伝えられる。
見どころ
- 国宝「直刀 黒漆平文大刀拵」(奈良時代)──全長約2.71m・刃長約2.24mの巨大直刀。現存する日本最古級の刀剣のひとつ。反りを持たない直刀は、日本刀が湾刀へ進化する以前の古代刀剣の姿を今に伝える
- 黒漆平文の大刀拵(国宝)──黒漆地に金属薄板を埋め込む平文技法を施した拵。奈良時代の工芸技術の水準を示す第一級の資料
- 古代〜中世の奉納刀剣コレクション──武神・武甕槌大神への崇敬から、古来より多くの武将・大名が名刀を奉納。「刀と祈り」の原初的な関係を知る貴重な資料群
- 武神・武甕槌大神と武道の聖地──日本建国神話の武神を祀り、古来より武人が武運を祈った聖地。「鹿島立ち」(旅立ち・門出)の語源となった場所
- 約70ヘクタールの鎮守の森──奥参道の杉の巨木、要石(地震鎮めの霊石)、御手洗池(透明度の高い湧水池)、鹿園など見どころ多数
※開館時間・展示内容は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。