熊野速玉大社 宝物館
Kumano Hayatama Taisha Treasure Hall
概要
神社と宝物館の概要
熊野速玉大社は、紀伊山地の霊場と参詣道としてユネスコ世界遺産に登録された熊野三山のひとつである。速玉之男神(はやたまのおのかみ)と夫須美神(ふすみのかみ)を主祭神とし、全国の熊野神社の総本社として深い信仰を集めてきた古社である。平安時代には上皇・法皇の熊野御幸が盛んに行われ、後白河法皇をはじめ多くの皇族・貴族・武将が熊野詣に訪れた歴史を持つ。境内の宝物館には、こうした参詣者が奉納した国宝・重要文化財の宝物が多数収蔵されている。
国宝の刀剣
宝物館の至宝は、国宝「金剣(こんけん)」と「銀剣(ぎんけん)」の二振りである。金剣は金装双龍環頭大刀(きんそうそうりゅうかんとうたち)とも称され、奈良時代(8世紀)に制作されたとされる古代刀剣の傑作である。柄頭に二匹の龍を象った金細工を施した壮麗な環頭大刀は、奈良・正倉院の宝物と同様の水準を誇る。銀剣も同様の様式を持つ対の作品で、古代の神宝としての荘厳さを今に伝える。これらは日本刀の起源を探る上で欠くことのできない、比類ない歴史的価値を持つ国宝である。
鎌倉武将の奉納刀剣
古代刀剣に加え、平安・鎌倉期に熊野詣を行った武将・貴族が奉納した刀剣も宝物館に収蔵されている。重要文化財に指定された奉納太刀の数々は、武家政権成立期に熊野三山が武士たちの信仰の対象となっていたことを示す貴重な資料である。那智の滝・熊野本宮大社・熊野那智大社と合わせた熊野古道巡りの中で、速玉大社の刀剣宝物に触れることは、日本刀と神道・仏教が交差する「刀剣信仰」の世界を最も深く体感できる機会となる。
熊野の自然と文化
宝物館が位置する熊野地方は、「日本人の心のふるさと」とも称される深い信仰の地である。熊野川・速玉大社の背後にそびえる神倉山(ゴトビキ岩に祀られる神倉神社)など、神聖な自然環境の中に人類の祈りの歴史が刻まれている。世界遺産・熊野古道(中辺路・大辺路)を歩きながら速玉大社を参詣し、新宮の地で日本刀の神聖な源流に触れる旅は、類稀な精神的体験をもたらすことであろう。
見どころ
- 国宝「金剣(金装双龍環頭大刀)」──奈良時代制作の古代刀剣の最高傑作。柄頭に双龍を象った金細工が施された壮麗な環頭大刀。正倉院宝物と並ぶ古代工芸の粋
- 国宝「銀剣(銀装双龍環頭大刀)」──金剣と対をなす銀装の環頭大刀。古代の神宝としての荘厳さを今に伝え、日本刀の起源を探る上で比類ない歴史的価値を持つ
- 平安・鎌倉期の奉納太刀(重要文化財)──熊野詣を行った武将・貴族が奉納した刀剣の数々。武家政権成立期の刀剣信仰を示す第一級の史料
- ユネスコ世界遺産・熊野三山の中核──熊野速玉大社は全国熊野神社の総本社。後白河法皇ら多くの上皇・武将が参詣した聖地で、日本人の精神文化の源流に触れる
- 神倉山・熊野古道との組み合わせ──神倉神社(ゴトビキ岩)・熊野本宮大社・熊野那智大社との熊野三山巡り。世界遺産の自然と文化が渾然一体となった唯一無二の旅
※開館時間・展示内容は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。
近隣の美術館
春日大社国宝殿
奈良県奈良市Kasuga Taisha Museum
黒川古文化研究所
兵庫県西宮市Kurokawa Institute of Ancient Cultures
京都国立博物館
京都府京都市東山区Kyoto National Museum
大阪歴史博物館
大阪府大阪市中央区Osaka Museum of History
奈良国立博物館
奈良県奈良市Nara National Museum
和歌山城天守閣・和歌山市立博物館
和歌山県和歌山市(和歌山城)Wakayama Castle and Wakayama City Museum
大阪城天守閣
大阪府大阪市中央区(大阪城)Osaka Castle Tower Museum
彦根城博物館
滋賀県彦根市Hikone Castle Museum
丹波篠山市立歴史美術館
兵庫県丹波篠山市Tanba-Sasayama City Museum of History and Art
平等院鳳翔館
京都府宇治市Byodoin Museum Hoshokan
泉屋博古館(住友コレクション)
京都府京都市左京区Sen-oku Hakukokan (Sumitomo Collection)