春日大社国宝殿
Kasuga Taisha Museum
概要
神社と博物館
世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産である春日大社に奉納された宝物を収蔵・展示する、日本最大級の神社宝物殿である。春日大社は768年(神護景雲2年)に藤原氏の氏神として創建され、以来1200年以上にわたって公家・武家の篤い崇敬を受けてきた。その結果、国宝352点、重要文化財971点という、一神社の所蔵としては圧倒的な規模の宝物が蓄積された。2016年、第六十次式年造替(20年に一度の社殿修繕)を記念してリニューアルオープンした国宝殿は、これらの至宝を現代的な展示環境で公開する施設である。
刀剣宝物
刀剣部門の筆頭は国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」である。毛抜形太刀は、柄(つか)に毛抜状の透かし彫りを施した古い形式の太刀で、平安時代の公家が儀式で佩用した格式高い刀剣様式。本品は金地に螺鈿(貝殻の薄片を嵌め込む装飾技法)を散りばめた豪華な拵で、王朝文化の華やかさを今に伝える工芸の至宝である。螺鈿の繊細な光沢と金地の気品ある輝きが織りなす装飾美は、息を呑むほどに美しい。
万葉文化
このほかにも、平安時代の奉納太刀が多数収蔵されている。藤原氏をはじめとする公家や、源義経・楠木正成などの武将が奉納したと伝わる刀剣は、日本の歴史そのものを刀身に宿しているかのようである。太刀拵の装飾は王朝文化を色濃く反映しており、螺鈿・蒔絵・金銀金具など、当時の最高水準の工芸技術が惜しげもなく注がれている。刀剣単体ではなく、拵を含めた総合的な工芸品として鑑賞することで、平安・鎌倉期の美意識がより深く理解できるだろう。
社殿建築
国宝殿では刀剣以外にも、舞楽面・甲冑・神鏡・調度品など多彩な宝物を展示しており、春日信仰の歴史と奈良の文化の奥深さを体感できる。
歴史保全
春日大社の参道は、奈良公園の鹿たちが群れ遊ぶ緑豊かな森の中を通り抜ける。約3,000基の石灯籠と約1,000基の釣灯籠が並ぶ参道の風景は幻想的で、2月と8月の万灯籠の行事では全灯籠に火が灯される。国宝殿の見学と合わせて、朱塗りの本殿(国宝)への参拝、萬葉植物園の散策もおすすめ。東大寺・興福寺・奈良町など、奈良の名所を巡る旅の中に組み込みたい。
見どころ
- 国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」──金地に螺鈿を散りばめた豪華な毛抜形太刀。平安王朝文化の華やかさを凝縮した工芸の至宝。螺鈿の繊細な光沢と金地の輝きが織りなす装飾美
- 平安時代の奉納太刀コレクション──藤原氏をはじめとする公家、源義経・楠木正成などの武将が奉納したと伝わる刀剣群。日本の歴史を刀身に宿す
- 王朝文化を反映した華麗な太刀拵──螺鈿・蒔絵・金銀金具など、平安・鎌倉期の最高水準の工芸技術を駆使した装飾。拵を含めた総合芸術として鑑賞すべき名品
- 国宝352点・重要文化財971点を含む春日大社の宝物群──舞楽面・甲冑・神鏡・調度品など、一神社の所蔵としては圧倒的な規模。春日信仰1200年の歴史を体感
- 2016年リニューアルの現代的展示環境──第六十次式年造替を記念して一新された展示空間。最新の照明・空調で宝物を最適な状態で鑑賞可能
※開館時間・展示内容は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。