NARUTO -ナルト-
NARUTO
岸本斉史による忍者漫画の金字塔。大蛇丸の草薙の剣は三種の神器のひとつ・天叢雲剣に由来し、霧隠れの七人の忍刀衆の大刀群は日本刀の多彩な形態を忍者世界で再解釈したもの。サスケの技名「千鳥」「雷切」は実在する名刀・立花道雪の愛刀に由来する。忍者というフィルターを通して日本の神話・武器文化を世界に伝えた功績は極めて大きい。
解説
日本の神話と刀剣
岸本斉史によるNARUTOは、忍者という日本固有の文化的アイコンを世界に浸透させた作品であるが、その物語の深層には日本の神話と刀剣文化が脈々と流れている。作中で最も象徴的な刀剣は大蛇丸が操る草薙の剣であり、これは日本神話における三種の神器のひとつ・天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)に直接的に由来する。天叢雲剣はスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した際にその尾から出現したとされる神話上の剣であり、後に日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の際にこの剣で草を薙ぎ払って火攻めを逃れたことから「草薙剣」の別名を得た。現在は名古屋の熱田神宮に御神体として祀られ、天皇の即位の礼においても皇位継承の証として重要な役割を果たす。
七人の忍刀衆
霧隠れの七人の忍刀衆が使う七本の大刀は、日本の武器文化の多様性を忍者世界で再解釈した秀逸な設定である。断刀・首斬り包丁の巨大な刀身は南北朝時代に流行した大太刀を、鮫肌の鱗状の刃は実在する鮫皮を用いた刀装具の文化を、大刀・鉄は鈍器としての金砕棒を、それぞれ連想させる。実際の日本の武器は太刀・打刀にとどまらず、薙刀・槍・長巻・金砕棒・鉄扇・十手など極めて多彩であり、NARUTOはこの多様性を忍者の世界観に巧みに落とし込んでいる。
立花道雪との連携
うちはサスケの必殺技「千鳥」と「雷切」の名は、戦国時代の武将・立花道雪(戸次鑑連)の愛刀に由来する。道雪は豊後の大名・大友宗麟の重臣であり、ある日大木の下で雷に打たれた際、携えていた刀で雷を切ったという壮絶な逸話から、その刀は「雷切」の号を得た。元の刀名は「千鳥」であり、NARUTOはこの実在の名刀の二つの名をそのまま技名として採用している。道雪はこの落雷で下半身に障害を負いながらも、輿に乗って戦場を駆け巡り、生涯三十七戦無敗の伝説を残した猛将である。
大太刀と薙刀
南北朝時代に流行した大太刀は刃長が三尺(約90cm)以上に及ぶ豪壮な太刀であり、戦場での威嚇効果と長大なリーチを活かした戦闘に用いられた。薙刀は長い柄の先に反りのある刃を付けた長柄武器で、平安末期から鎌倉時代にかけて武士の主力武器のひとつであった。源義経が薙刀の名手であったとする伝承は有名であり、後の時代には武家の女性の護身武芸としても広く修練された。DATEKATANAでは、こうした神話や伝説の源泉となった実在の日本刀を、時代・流派を問わずお届けしています。
登場する実在の刀剣
天叢雲剣(草薙剣)
日本の皇位を象徴する三種の神器のひとつであり、日本刀文化の精神的な源流に位置する霊剣。古事記・日本書紀によれば、スサノオノミコトが出雲国でヤマタノオロチを退治した際、八つの頭を持つ大蛇の尾から出現したとされる。のちに日本武尊が駿河国で敵の火攻めに遭った際、この剣で草を薙ぎ払って難を逃れたことから「草薙剣」とも呼ばれるようになった。現在は名古屋の熱田神宮に御神体として祀られ、一般の目に触れることはない。三種の神器は天皇即位の証であり、天叢雲剣は武の象徴として八咫鏡(智の象徴)・八尺瓊勾玉(仁の象徴)と並ぶ。日本人にとって剣が単なる武器ではなく国家の根幹に関わる神聖な存在であるという認識は、この神話に遡る。
雷切(らいきり)
戦国時代の猛将・立花道雪(戸次鑑連)の愛刀の号。元の名は「千鳥」であったが、道雪が大木の下で休息中に落雷を受けた際、咄嗟にこの刀を振るって雷を切ったとの壮絶な逸話から「雷切」と呼ばれるようになった。道雪はこの落雷で下半身に障害を負いながらも、輿に乗って戦場の最前線に立ち続け、生涯三十七戦無敗という驚異的な戦績を残した。豊後の大友宗麟に仕えた忠臣であり、「雷神の化身」と恐れられた。この逸話は日本刀に超自然的な力を認める信仰の典型例であり、NARUTOがサスケの技名として採用したことで世界的に知られるようになった。
大太刀(おおだち)
刃長が三尺(約90cm)以上に及ぶ大型の太刀で、南北朝時代(1336〜1392年)に最も流行した。この時代は天皇家が南朝と北朝に分裂し、全国規模の戦乱が続いた動乱期であり、戦場での威嚇効果と長大なリーチを求めて太刀の大型化が進んだ。熊野神社に奉納された「破邪の御太刀」(刃長約2.2m)は現存する日本最大の大太刀として知られる。実戦では馬上から振り下ろして歩兵の隊列を崩す用途や、陣頭に立って士気を鼓舞する象徴的な役割を果たした。大太刀の豪壮な姿は南北朝の気風を体現しており、この時代の刀剣は力強さと動的な美しさにおいて比類がない。
薙刀(なぎなた)
長い柄(通常120〜150cm)の先に反りのある刃(30〜60cm)を装着した日本固有の長柄武器。平安時代末期から鎌倉時代にかけて武士の主力武器のひとつとして隆盛を極め、源平合戦の時代には弁慶の七つ道具のひとつとしても知られる。騎馬武者に対して圧倒的なリーチで足元を薙ぎ払う戦法は極めて有効であり、「薙ぐ」という動作そのものが名の由来となった。戦国時代以降は槍に主力武器の座を譲ったが、武家の女性の護身武芸として広く修練され、幕末には薙刀を振るって戦った女性戦士・中野竹子の逸話が残る。現代でも全日本なぎなた連盟のもとで競技武道として継承されている。
本物の日本刀を見る
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