GHOST OF TSUSHIMA
Ghost of Tsushima
2020年にSucker Punch Productionsが送り出した、1274年の文永の役(元寇)を舞台とするオープンワールドゲーム。対馬の武士・境井仁が蒙古軍に立ち向かう物語は、鎌倉時代の太刀・武士の生活・対馬の風土を驚異的な精度で再現し、日本の時代劇映画への深い敬意を込めた「黒澤モード」の搭載でも話題を呼んだ。日本刀の黄金期とされる鎌倉時代の刀剣文化を世界に知らしめた功績は絶大である。
解説
鎌倉時代の再現
Ghost of Tsushima(2020年)は、1274年の文永の役を舞台に対馬の武士・境井仁の壮絶な戦いを描いたオープンワールドゲームであり、日本刀の黄金期とされる鎌倉時代の刀剣文化を全世界のゲーマーに体感させた画期的な作品である。Sucker Punch Productionsのスタッフは開発にあたって日本を訪問し、対馬の風土・鎌倉期の武士文化・日本刀の製作技術について徹底的な調査を行った。その成果は、ゲーム内の太刀の造形から殺陣のモーション、武士の所作に至るまで、随所に反映されている。
時代の刀剣
ゲーム内の刀剣は鎌倉時代の太刀を忠実に再現している。鎌倉時代は日本刀史において最も重要な時代とされ、武家政権の樹立と相次ぐ戦乱が刀の進化を強力に推し進めた。平安時代の細身で優美な太刀から、鎌倉中期には身幅が広がり重ねが厚く猪首切先を持つ実戦的な造りへと変貌を遂げた。特に文永の役・弘安の役という二度の蒙古襲来は、日本刀の製作思想に決定的な転機をもたらした。蒙古軍の厚い革鎧や集団戦法に対抗するため、より頑健で斬撃力に優れた刀が求められ、身幅広く重ね厚く、反りの深い豪壮な太刀が鍛えられるようになったのである。
名工たちの活躍
この時代に活躍した刀工は日本刀史を彩る綺羅星のごとき存在である。相州伝の祖・新藤五国光は大和伝の技法を基盤としつつ独自の鍛法を開拓し、後に正宗を輩出する相州鍛冶の基礎を築いた。山城国の来派では来国俊・来国行が活躍し、優美にして品格ある作風は山城伝の真髄を体現している。備前国では長船派の祖・光忠が華やかな丁子乱刃で一世を風靡し、その子・長光、孫・景光と続く長船三代は備前刀の黄金時代を築いた。これらの名工が競い合い高め合った鎌倉時代は、まさに日本刀の芸術性と実用性が最高度に融合した奇跡の時代であった。
文化への敬意
Ghost of Tsushimaは日本のゲーム会社ではなくアメリカの開発会社が制作したにもかかわらず、対馬市から感謝状が贈られるほど日本文化への敬意に満ちた作品であった。このゲームをきっかけに対馬を訪れる外国人観光客が増加し、日本の歴史と刀剣文化への国際的な関心が高まったことは特筆に値する。DATEKATANAでは、こうした鎌倉時代の刀工の系譜に連なる本物の日本刀をお取り扱いしております。
登場する実在の刀剣
鎌倉時代の太刀
日本刀の黄金期を象徴する刀剣群。鎌倉幕府の成立とともに武家政権が本格化し、実戦で使われる刀への要求が飛躍的に高まった。初期は平安時代の細身の姿を引き継ぎつつも次第に身幅を増し、中期には猪首切先(いくびきっさき)を持つ堂々たる太刀姿が確立された。反りは腰反りから中反りへと移行し、騎馬戦から徒歩戦への戦闘様式の変化が刀の姿に直接反映されている。鎌倉期の太刀は「姿が良い」と評されることが多く、実用性と美の完璧な調和を体現している。
新藤五国光(しんとうごくにみつ)
鎌倉時代後期に活躍した相州伝の祖と称される名工。大和国で修行したのち鎌倉に移り、大和伝の直刃を基調としつつも沸の強い独自の作風を確立した。短刀の名手として特に高い評価を受け、その端正な作風は後の正宗に多大な影響を与えた。新藤五の「五」は五郎の略であり、正宗の師匠にあたるこの刀工なくして相州伝の完成はなかった。国光の作品は現存数が限られ、いずれも美術刀剣として極めて高い評価を受けている。
来国俊(らいくにとし)
鎌倉後期に山城国(京都)で活躍した来派の代表的刀工。来派は高麗からの渡来鍛冶を祖とする説もあるが定かではない。国俊の作風は小沸出来の品格ある直刃を本領とし、澄み切った地鉄の美しさは山城伝の真髄を体現するものとされる。太刀・短刀いずれにも名品が多く、特に在銘の太刀は国宝・重要文化財に指定されているものが少なくない。子の来国光、来国次と続く来派は山城伝を代表する刀工集団として鎌倉後期から南北朝期にかけて隆盛を極めた。
元寇(げんこう)
1274年の文永の役と1281年の弘安の役の総称。フビライ・ハンが率いるモンゴル帝国が日本に侵攻した二度の軍事行動であり、日本刀の歴史に計り知れない影響を与えた。蒙古軍が用いる厚い革鎧と集団戦法に対し、従来の日本刀では刃が欠けることがあったとされ、これが身幅広く重ね厚い頑健な太刀の需要を生んだ。また、てつはう(震天雷)に代表される蒙古軍の火器は日本の武士に衝撃を与え、戦闘思想の根本的な転換を促した。Ghost of Tsushimaが描く文永の役はまさにこの歴史的転換点であり、対馬の武士たちの壮絶な戦いは「対馬の役」として実際に記録されている。
本物の日本刀を見る
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